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腹膜播種とはがん細胞が臓器の壁を突き破り、種がまかれるように身体の中でがんの腫瘍が広がっている状態を指します。
当記事では、腹膜播種とはどのような状態のことを指すのかまとめるとともに、起こりうる症状や治療法などについて詳しく説明しています。
腹膜播種の情報を集めている方は、ぜひ参考にしてください。
腹膜播種という言葉は、あまり聞き慣れない方も多いと思います。
しかし日本人に多いと言われている胃がんで亡くなる方の半数近くが腹膜播種による症状で悩まされていることから、決して珍しい病気ではありません。
人の腹部には、腹膜という薄い皮で形成された大きな袋があります。この袋は、腹膜腔(ふくまくくう)もしくは腹腔(ふくくう)と呼ばれており、この中に胃や小腸、大腸等の消化管がとぐろを巻くようにおさまっているのです。
胃がんは日本人に多く見られる癌の1つであり、胃の内部に発生します。初期の頃は腹腔の中に癌細胞がこぼれて散らばるようなことはありません。
しかし、癌細胞が成長して胃の内部の粘膜から筋肉、そして胃の外側へと広がっていく中で、表面から剥がれ落ちた癌細胞が腹腔に散らばってしまうのです。
癌細胞の大きさは非常に小さいこともあり、はじめのうちは腹腔に剥がれ落ちても肉眼で確認できません。
手術で開腹して腹腔の中に生理食塩水と呼ばれる水分を注ぎ、しばらく経った後に液体を取り除いて顕微鏡で観察すると、癌細胞が確認できることがあります。
この状態を「洗浄細胞診陽性」と呼び、外科的な手術で取り切れない状況になっていることを意味しているのです。
腹腔にバラバラとこぼれて腹膜に付着し、細胞分裂を繰り返しながら目に見える大きさの粒や塊になったものを腹膜播種(ふくまくはしゅ)と呼びます。
播種は、「種をまく」という意味を持ち、目に見えない大きさの癌細胞が腹腔に剥がれ落ち、畑に種を巻いたように成長することから名称がつけられました。
散らばった癌細胞が細胞分裂を繰り返して、実際に見えるくらいの大きさになると腹部膨満感や便秘などの消化器症状があらわられます。
この状況からさらに進行すると腸閉塞や黄疸などの症状が現れ、治療困難な「癌性腹膜炎」と呼ばれる状態になります。
前述した通り、癌細胞の大きさは 0.01mmほどと非常に小さいのが特徴です。
このため癌細胞が腹腔にはがれたばかりの頃は症状が見られず、超音波検査やCTを実施しても見つけることは出来ません。
しかし癌細胞は、日々細胞分裂を繰り返しているため、増殖して大きな塊になっていきます。さらに進行すると、小腸や大腸の通りが悪くなる腸閉塞と呼ばれる状態になったり、腹水貯留が見られたりします。
上記のほかには、胆管が狭くなって黄疸が現れたり、尿管が狭くなることによる水腎症と呼ばれる状態を引き起こしたりするケースもあるのです。
自覚症状としては、耐えられないほどの腹部膨満感や便秘、腹痛、吐き気、嘔吐などさまざまな消化器症状が見られるようになります。
このような症状が見られるほど進行すると、超音波やCT等の検査で異常所見が確認されるようになるのです。
腹膜播種の状態まで進行すると、外科的な手術で完全に取り除くことは困難です。
仮に肉眼的に取り除けたとしても術後に再発する可能性が高いことがわかっています。
それゆえに腹膜播種がある場合、手術で胃切除は実施せず抗がん剤を用いた化学療法をメインに行われることになります。
一般的には、抗がん剤を点滴静脈注射で投与したり、内服薬を使ったりする方法が取り入れられているのです。
上記のほかには、腹腔内化学療法や腹腔内温熱化学療法などの治療が行われることがあります。
腹腔内化学療法とは、腹腔ポートを用いて抗癌剤を直接腹腔内に注入する治療のことを指し、腹腔内温熱化学療法は温めた抗癌剤を腹腔内に注入する治療のことです。
これらの治療は比較的新しい治療法ですので、臨床研究として専門施設で実施されているのが特徴の1つ。腹腔内化学療法は臨床試験として実施され、良好な成績を得ています。
近年、化学療法の領域において進歩が見られ、分子標的薬を含めたさまざまな抗がん剤の開発が進んでいます。
腹腔に散らばった癌細胞はやがて腹膜に付着して、細胞分裂を繰り返していきます。肉眼で確認できる大きさの粒や塊になったものを腹膜播種と呼びます。
この状態まで進行すると、手術で取り切ることは困難ですので、点滴静脈注射や内服薬による化学療法をメインに治療が進められていくのです。
抗がん剤の開発も日々進んでいますので、自分に合った治療法について主治医と確認しながら治療に臨みましょう。
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