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2022年4月1日、提携医療機関の医師らの協力によって発足された「日本NKT細胞標的治療研究会」が、新たに、「一般社団法人日本NKT細胞標的治療研究会(Japan Society for NKT Cell Targeted Therapy)」を設立しました。
この研究会は、「NKT細胞標的治療(RIKEN-NKT®)」のがん治療の有効性についてさまざまな角度から検証し、さらに有効性の高い治療技術の発展を調べ、がん治療において広く社会貢献していくことを目的としています。
この設立に伴って、一般社団法人日本NKT細胞標的治療研究会は2022年11月19日、第1回総会を合人社東京永田町ビルビジョンセンターで開催しました。
NKT細胞標的治療は、株式会社理研免疫再生医学が開発した免疫治療の1つ。がん医療を担う治療法の1つとして広まっていくためには、医学的根拠を持って治療の妥当性を示していく必要があるのです。
このようなことを実現するため、提携する医療機関の医師らの協力のもと、研究会を立ち上げ、症例データベースの構築や治療プロトコルの共通化、有効性評価法の検討などをもとにして、がん治療の有効性を医学的な観点から明らかにしていきます。
現在、がん治療を受けている多くの患者は、標準治療だけではなく、新しい治療を求めています。
同研究会はNKT細胞標的治療の有効性について科学的な根拠を示しながら、がん治療を受けている方の受け皿となる免疫治療の提供を目指しているのです。
2022年10月19日厚生労働省は、第81回厚生科学審議会再生医療等評価部会を開催しました。
第一種再生医療等提供計画と呼ばれるものを千葉大学医学部附属病院が提出しましたが、これが了承されず継続審査になったのです。
継続審査が決定されたのは、頭頸部がんを対象としたiPS細胞由来ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)と自家樹状細胞DC/Galの併用療法の第1相試験となっています。
なお、継続審査になった理由は明らかにされていません。
病気を治すために医薬品は欠かせないものの1つ。しかし、薬はリスクともいわれているように、人の体には薬の成分はもともと存在しないため、使い方によっては害をもたらしてしまうとされています。
そこで、安心して医薬品を使用できるよう、「薬の候補物質」について、動物で効果や毒性を調査するだけではなく、人体での有効性や安全性について確認する必要があるのです。
動物試験や基礎試験が終了すると次の段階では、少数の健康な成人を対象に、初めて人体に投与する段階の試験が実施されるのです。
この試験のことを第1相試験(フェーズ1試験)と呼び、非常に少量からはじめて徐々に「薬の候補物質」の投与回数や量を増やしていきます。そして、薬の代謝・排泄、体内における作用などを慎重にチェックし、安全性を評価していきます。
この試験で安全性が確認された薬品は、データをもとにしながら第2相試験、第3相試験へ進んでいくのです。
※参照元:大阪大学医学部付属病院臨床研究センター|第1相試験とは
※参照元:株式会社 日経BP|厚労省、頭頸部がん対象のiPS由来NKT細胞療法の第1相試験を継続審査に
京都大学iPS細胞研究所の金子新教授などの研究グループがオンライン上の記者会見で発表したニュースです。
CiRA増殖分化機構研究部門に所属する金子新教授らの研究グループは、マウスの固形がんモデルにおいて抗腫瘍効果が期待できるCAR-T細胞をiPS細胞から作る方法の開発に成功しました。
がんの免疫療法に用いられているがん細胞を攻撃する力を人工的に高めた免疫細胞をiPS細胞から作り出すことに成功したのです。
iPS細胞から効率的に免疫細胞を作れると、がん治療を受けている多くの患者に低コストで提供できるようになると言われているのです。
「CAR-T細胞療法」は、血液がんにかかっている患者を対象にした免疫療法の1つです。
この治療では、一旦体外に患者の免疫細胞を取り出します。そして、がん細胞を攻撃する力を高める遺伝子を組み込んでから、再び体内に戻してがんを攻撃させるのです。
研究グループは、患者の細胞の代わりにiPS細胞から免疫細胞を作り人工的に強化し、がん移植済みのマウスに投与しました。
その結果、移植されたマウスのがん細胞の成長を抑える効果が確認されたのです。
免疫療法では、患者の細胞からその患者に限定した免疫細胞しか作れずコストが高くなることが課題でした。
今後、iPS細胞から効率的に作れるようになると、低コストで数多くの患者に提供できるようになるとされています。
※参照元:日本放送協会|iPS細胞からがん免疫療法に使う細胞を作る実験に成功 京大など
H2京都大学の本庶佑特別教授らが高齢者にも効きやすくする物質を発見
がん免疫治療では、高齢者だと効果が出にくいという弱点があります。
京都大学の本庶佑(ほんじょたすく)特別教授が在籍するチームは、この弱点を克服する候補物質を見つけたことを発表しました。
生体内には「スペルミジン」と呼ばれる老化を遅らせる働きのある物質があります。
それを高齢のマウスに投与すると、免疫機能が回復して薬が効きやすくなるとされているのです。
本庶特別教授は治療薬の1つである「オプジーボ」の開発に携わり、2018年ノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
このタイプの薬は効果が大きい反面、免疫細胞の働きが低下している高齢者には治療効果を得にくいという点が課題の一つになっているのです。
チームは、高齢マウスの免疫細胞内にあるスペルミジンの濃度が、若いマウスの半分ほどに低下していることを確認。
スペルミジンが、細胞内でエネルギーを発生させる「ミトコンドリア」という小器官において重要な酵素を活性化させていることを明らかにしました。
そこで、高齢マウス5匹に大腸がん細胞を移植した後に、スペルミジンとがん免疫治療薬を併用しました。
その結果、免疫細胞の働きが高まり、薬のみを投与した場合と比較すると、腫瘍の大きさが約1/4になったのです。
今後、チームは人での治験実施を目指しています。
スペルミジンとは、生体内におけるポリアミンのことをいいます。細胞の生存や増殖、ミトコンドリアの機能を保つために必要なものです。そのような働きがあることから、細胞内に豊富に含有されていますが、年を重ねていくごとに生体内での濃度は低下すると言われています。
※ポリアミン…アミノ酸の一つであるアルギニンから合成されるもの。全生物の細胞に含まれている物質のことであり、細胞の成長や増殖、生命活動に関わっている物質のことを指します。
ポリアミンは人の体内に20種類以上存在し、代表的なものとして、スペルミン・スペルミジン・プトレスシンの3種類があげられます。
※参照元:京都大学|スペルミジンはT細胞の脂肪酸酸化を直接活性化し老化による抗腫瘍免疫の低下を回復させる―スペルミジンによる脂肪酸酸化活性化機構の解明―
※参照元:株式会社メディカルフューチャー|長寿国の秘訣!ポリアミンってご存知ですか?
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