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がん細胞は、健康な人の体内でも1日約3,000~5,000個発生していると言われています。それでもがんにならないのは、人に備わっている免疫力が正常に機能しているからです。しかし、加齢やストレスによって免疫機能が低下すると、がんが発症してしまいます。
ここでは、人がなぜがんになるのか、メカニズムを分かりやすく解説します。
人間の体には元々、病気になったりケガをしたときに、自分で治そうとする力が備わっています。例えば風邪をひいた時、薬を飲まなくても、消化の良いものを食べ暖かくして寝ていると、治ることがありますね。こうした力は「自然治癒力」と言い、主に「保つ」「治す」「守る」という3つの機能で構成されています。
「保つ」機能は恒常性維持機能とも呼ばれ、暑い夏に汗をかいて体温調節するなど、体を一定の状態に保とうとする機能のこと。「治す」機能は自己再生機能と言い、古い細胞と新しい細胞が定期的に入れ替わるように、体のダメージを修復しようとする機能のこと。そして「守る」機能は、自己防衛機能と言い、細菌やウイルスなどが体内に侵入した際に、排除する機能のことです。
これら3つの機能が連携しながら働くことで、人の体は健康を維持しています。
自然治癒力があるのに、なぜ人は病気になるのでしょうか。
自己防衛機能の中心となって働いているのが「免疫」です。免疫とは、病原体などの異物を排除して体を守る防御システムのこと。これが正常に働いている限り、私たちは病気とは無縁の生活を送ることができます。
しかし残念ながら、免疫システムは、加齢とともに衰えます。一説によると、免疫細胞は20歳をピークに下降線を辿り、40際になるとピーク時の半分になってしまうと言われています。免疫細胞が老化して免疫システムが上手く機能しなくなることで、免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなったり、がんを排除できなくなってしまうのです。
ただし、若くても、生活習慣や食生活などの環境、ストレス、気の持ちようなどによって免疫力が低下することがあります。これによって若い人でもがんが発症する可能性があるので、トータルに考えることが必要です。
一方で、私たちの体は、約37兆もの細胞で構成されています。そして、一定の周期で新しい細胞と入れ替わったり、分裂・増殖・自然死したりして体の恒常性を保っています。
例えば、転んでケガをしたとき、細胞が増殖して傷を塞ぎますが、傷口がふさがれば増殖を止め、それ以上増えることはありません。
なぜなら、正常な細胞には、細胞が老化したり、欠損したり、死滅したときにだけ、新しい細胞が作られて入れ替わるようプログラムがされているからです。このため、正常な細胞は、必要なときだけ増殖し、一定程度まで成長するとそれ以上増殖することはありません。
しかし、中には、老化や化学物質、ウイルス、放射線や紫外線などによって、突然変異を起こす細胞がいます。突然変異を起こした細胞は、細胞分裂のコントロールがきかなくなり、勝手に増殖し続けるようになります。これが、がん細胞です。
例えがん細胞ができても、それですぐにがんを発症するわけではありません。なぜなら、体内には免疫システムが備わっており、この働きによって、がん細胞も排除されるからです。しかし、免疫システムが上手く作動せず、排除されずにがん細胞がどんどん蓄積されると、がんが発症してしまいます。
また私たちの細胞には、肺なら肺、心臓なら心臓というように、決められた場所で役割が決まっており、自分の居場所を離れてしまうと生きていけず死んでしまうという性質があります。
しかし、がん細胞は違います。増殖を続け、血液やリンパ管などを通して軽々と場所を移動し、新たな場所でも死なずにさらに増殖を続けます。
正常な細胞は、別の場所に移動しても接着する足場がないととどまれない上、他の臓器の細胞同士が接触すると増殖が停止する「接触阻止」という作用が働くことで、二重にガードされています。
ところが、がん細胞は足場がなくてもどこでも接着できるだけでなく、他の臓器の細胞と接触しても増殖を続けられるという性質を持っているのです。
こうして、「増殖」と「移動」を可能にしたがん細胞が体をむしばみ、やがて命まで奪ってしまいます。これを食い止めるには、がんの早期発見・早期治療、そして、免疫力を保つことが大切なのです。
体内にある“免疫のリーダー”
NKT細胞を活性化して、
がん細胞を攻撃する
「NKT細胞(ナチュラルキラーT細胞)」を人工的に活性化し、免疫を高める治療法です。
NKT細胞は、敵(がん)の特徴を認識し、総攻撃することも、長期にわたって記憶することも可能。
ほかの免疫細胞が分業している仕事を、自身で行いつつ、ほかの免疫細胞に指示を出せるという、免疫のリーダー的役割を果たしています。
成分採血
提携医療機関に外来。受療適格性判断のための血液検査をおこなったのち、約1週間後に成分献血を実施します。
ベッドに横になった状態で、4~5時間かけて特定の成分だけを保存する方法で、日本赤十字での成分献血と同様の方法で行われます。
この採血した単核球(リンパ球、単球)の層を細胞培養施設に移送します。
培養
単核球層から単球(白血球の3~8%を占める白血球の成分の一種。感染に対する防衛の開始に重要な細胞のこと)を単離し、樹状細胞へ分化誘導します。
結合
分化誘導された樹状細胞は、未熟な状態です。
これを十分に成熟化させるために引き続き培養し、免疫活性化物質を添加してNKT細胞を活性化する細胞を作り上げます。
この技術は理研免疫再生医学の特許であり、RIKEN-NKT™において使用されています。
また、この免疫活性化物質は、GMP製造(医薬品の製造管理及び品質管理の基準)され、理研免疫再生医学が独占的権利を持っています。
これらの技術は、理研免疫再生医学と提携しているクリニックに提供されています。
体内に戻す
成分採血から2週間後に、NKT細胞を活性化するための細胞(目的細胞)が医療機関に戻されます。医療機関にて、-80℃以下で凍結保存し、患者様が外来したときに、皮下注射または静脈への点滴により体内に目的細胞を戻します。日帰りでの治療になります。
理研発のメディカルサイエンス企業である、株式会社理研免疫再生医学では、NKT細胞標的治療に必要な薬剤や培養方法などを開発して、提携医療機関や共同研究機関等との協力により、保険外診療としてNKT細胞標的治療技術を普及することに努めています。
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