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ここでは、いま注目されている免疫療法「NKT細胞標的治療」の歴史を解説しています。NKT細胞標的治療がどのようにして生まれたのか、NKT細胞の発見から研究の経緯にいたるまでを分かりやすくまとめました。
NKT細胞標的治療の歴史は、1986年に「NKT細胞(ナチュラルキラーT細胞)」が発見されたところから始まります。国立研究開発法人理化学研究所、生命医科学研究センター、客員主管研究員・谷口克氏が、千葉大学医学部教授時代にNKT細胞を発見しました。
NKT細胞が感染防御に不可欠な免疫細胞であり長期免疫記憶に関わっていることも明らかにされ、米国免疫学会はこのNKT細胞の発見について「免疫の金字塔」と認定しました。
1997年には、NKT細胞を人工的に活性化させられる物質が明らかとなりました。リガンド糖脂質(免疫機能活性物質)「αGalCer(アルファ・ガラクトシルセラミド)」です。このリガンド糖脂質を用いることで、体内のNKT細胞を人工的に活性化させられるということが分かったのです。
2000年には、人工的に活性化したNKT細胞が、アジュバント作用(免疫システムの活性化作用)を発揮することが分かりました。
「IFN-ɤ(インターフェロン・ガンマ)」と呼ばれる物質などを放出して「NK細胞」「キラーT細胞」「マクロファージ」といったさまざまな免疫細胞を増殖・活性化させる働きを持っていたのです。
つまり、免疫システム全体を活気づけて、がん細胞を攻撃するための士気を高める働きをするというわけです。
こうしたNKT細胞の優れた作用について、がん治療効果を検証するために、まずは動物実験が行われました。
その結果、がん抗原ワクチンの投与のみではがんを殺傷する「キラーT細胞」はさほど増えませんでしたが、その投与と同時にNKT細胞を人工活性させると「キラーT細胞」が約30倍にも増殖することが分かったのです。そして、こうした状況になることでがん細胞の増殖がストップすることも明らかとなりました。
この結果を受けて、次に行われたのが臨床的治療効果を検証するための動物実験です。悪性黒色腫が肝臓に転移したマウスを2つの群に分けて、A群にはNKT細胞を活性化させる細胞製品を投与。B群は無治療として様子を見ました。すると1週間後、B群では肝臓全体にがん細胞が広がり転移巣が増大しましたが、A群では、悪性黒色腫が消えていたのです。
言うまでもなく、がん治療の効果が期待できる結果となりました。
動物実験の結果を元に、次はヒトに対する臨床試験も実施されました。治療の大まかな流れは、患者の採血(アフェレーシス)によって「単核球」という核のある細胞のみ取り出し、これをクリーンルームで培養。樹状細胞を成熟させ、「αGalCer」を加えて培養し、細胞製品を作ります。これを患者に投与し、体内でNKT細胞を活性化させるという流れです。
最初の臨床試験が行われたのは千葉大学。標準治療で効果が得られなかった「進行・再発非小細胞肺がん(ステージIIIB、ステージIV、再発)」の患者17人を対象に行われました。通常、こうした病態の患者の平均生存期間は4.6ケ月とされていましたが、臨床試験(1クール投与)の結果、その生存期間の中央値はなんと18.6ケ月でした。通常の4.3倍に延長したという結果です。
こうした臨床試験の結果を受けて、NKT細胞標的治療は「先進医療B」としての認可を得ることができました。
その後先進医療Bで行ったNKT細胞標的治療の治療成績も良好です。
現在も、NKT細胞標的治療の研究は続けられています。
体内にある“免疫のリーダー”
NKT細胞を活性化して、
がん細胞を攻撃する
「NKT細胞(ナチュラルキラーT細胞)」を人工的に活性化し、免疫を高める治療法です。
NKT細胞は、敵(がん)の特徴を認識し、総攻撃することも、長期にわたって記憶することも可能。
ほかの免疫細胞が分業している仕事を、自身で行いつつ、ほかの免疫細胞に指示を出せるという、免疫のリーダー的役割を果たしています。
成分採血
提携医療機関に外来。受療適格性判断のための血液検査をおこなったのち、約1週間後に成分献血を実施します。
ベッドに横になった状態で、4~5時間かけて特定の成分だけを保存する方法で、日本赤十字での成分献血と同様の方法で行われます。
この採血した単核球(リンパ球、単球)の層を細胞培養施設に移送します。
培養
単核球層から単球(白血球の3~8%を占める白血球の成分の一種。感染に対する防衛の開始に重要な細胞のこと)を単離し、樹状細胞へ分化誘導します。
結合
分化誘導された樹状細胞は、未熟な状態です。
これを十分に成熟化させるために引き続き培養し、免疫活性化物質を添加してNKT細胞を活性化する細胞を作り上げます。
この技術は理研免疫再生医学の特許であり、RIKEN-NKT™において使用されています。
また、この免疫活性化物質は、GMP製造(医薬品の製造管理及び品質管理の基準)され、理研免疫再生医学が独占的権利を持っています。
これらの技術は、理研免疫再生医学と提携しているクリニックに提供されています。
体内に戻す
成分採血から2週間後に、NKT細胞を活性化するための細胞(目的細胞)が医療機関に戻されます。医療機関にて、-80℃以下で凍結保存し、患者様が外来したときに、皮下注射または静脈への点滴により体内に目的細胞を戻します。日帰りでの治療になります。
理研発のメディカルサイエンス企業である、株式会社理研免疫再生医学では、NKT細胞標的治療に必要な薬剤や培養方法などを開発して、提携医療機関や共同研究機関等との協力により、保険外診療としてNKT細胞標的治療技術を普及することに努めています。
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