がんのセカンドオピニオン

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セカンドオピニオンとは

セカンドオピニオンとは、患者さんが安心して治療法を選択できるよう、現在診療を受けている主治医とは別の医師に意見を求めることを指します。しばしば誤解されますが、「セカンドオピニオン＝転院して別の医師に治療を任せる」という意味ではありません。

基本的には、今の主治医のもとで治療を続けることを前提に、「主治医の説明を別の視点から確認したい」「診断や治療方針について他の医師の意見も聞きたい」「治療の選択肢をさらに知りたい」といった場合に利用されます。

セカンドオピニオンは、患者さんの不安や疑問を解消し、納得のいく治療を選ぶためのサポートとなるものです。患者さんの正当な権利であり、主治医に気を遣ったり遠慮したりする必要はありません。ただし、必ず受けなければならないものでもありません。メリットとデメリットを理解したうえで利用することが大切です。

セカンドオピニオンを受けるメリット

セカンドオピニオンを受ける大きなメリットは、担当医とは異なる見解や治療法が提示されることで、病気や治療への理解が深まり、治療法の選択肢が広がる点です。近年は医師の専門分野が細分化されているため、専門家に意見を求めることで、より効果的な治療法を提案してもらえる可能性があります。

一方で、がん医療の分野においては「標準治療」に基づいて治療方針を定めるのが基本です。標準治療とは、現時点で最も効果が期待でき、安全性も確立されている治療を指します。そのため、病院や医師によって意見が大きく異なるケースは多くないのが実情です。

ただし、たとえ担当医と同じ意見だったとしても、別の医師から説明を受けることで理解がより深まり、納得して治療に取り組めるようになります。

セカンドオピニオンを受けるデメリット・注意点

セカンドオピニオンの主なデメリットは、医療費の負担が増えることです。セカンドオピニオンには公的医療保険制度が適用されないため、費用はすべて自己負担となります。遠方の医療機関を受診する場合は、交通費の負担についても考慮しないといけません。

もうひとつ注意したいのが、セカンドオピニオンに時間をかけすぎて治療の開始が遅れてしまうことです。特にがんのように進行が早い病気では、治療を優先したほうが望ましい場合もあります。時間に余裕があったとしても、治療が後回しになっている間に病状が進行するケースもあるため、時間をかけすぎずに決断することが大切です。

セカンドオピニオンは保険適用される？
費用はだいたいどれぐらい？

セカンドオピニオンは保険が適用されない自由診療であるため、相談料金は病院や地域によって異なります。相談料金の目安は30分あたり5,000円〜25,000円（※）程度です。相談時間が長くなるほど料金が高くなるため、受診を検討している病院の料金体系や所要時間をあらかじめ確認しておきましょう。

一方、セカンドオピニオンを受ける際に必要となる「診療情報提供書（紹介状）」については、保険が適用されます。

情報参照元：オンライン診療サービス おうち病院(https://anamne.com/secondopinion-method/）

セカンドオピニオンを受けるときの流れ

1.主治医の説明（＝ファーストオピニオン）をよく理解する

セカンドオピニオンを受ける前に、まずは主治医の意見を十分に理解することが大切です。診断名や病状の進行度、提示された治療法とその理由などを、主治医にしっかり確認しましょう。これらを理解しないまま別の医師に相談すると、かえって選択肢が増えて混乱を招く恐れがあります。

また、「なぜセカンドオピニオンを受けたいのか」という自分の気持ちを整理することも重要です。現在の治療方針に疑問や不安がある場合は、まず主治医としっかり話し合いましょう。話し合いを通じて疑問や不安が解消され、主治医との信頼関係が深まることもあります。

2.セカンドオピニオンを受けたいと伝える

セカンドオピニオンを受けると決めたら、主治医にその旨を伝えましょう。

ただ、主治医に伝えにくいと感じる方も少なくありません。伝え方に迷う場合は、がん相談支援センターや主治医以外の看護師・受付スタッフなどに相談してみるのもひとつの方法です。

がん相談支援センターは、全国のがん診療連携拠点病院や地域がん診療病院などに設置されている公的な相談窓口です。無料・匿名で利用でき、相談内容が主治医や病院関係者に知られてしまう心配もありません。主治医への伝え方についてアドバイスを受けられるほか、セカンドオピニオン外来を設けている病院の情報も教えてもらえます。

3.セカンドオピニオンで話を聞きたい病院を探す

がん診療連携拠点病院では、セカンドオピニオンを希望する患者さんへの支援体制が整っており、地域で連携している医療機関を紹介してもらえます。主治医に直接相談する方法のほか、がん相談支援センターを通じてセカンドオピニオンを受診できる病院を紹介してもらうのも有効です。

最近ではオンラインでセカンドオピニオンを受けられる病院も増えてきており、以前よりも専門医の意見を気軽に聞ける環境が整いつつあります。

4.セカンドオピニオンの予約を取る

セカンドオピニオンを受ける病院が決まったら、病院の窓口に連絡して、予約方法や受診の流れ、必要書類、費用、相談時間などを確認しましょう。病院によっては、現在通院している病院からの申し込みや書類の提出が必要となる場合もあります。

また、セカンドオピニオンを受ける際は「診療情報提供書（紹介状）」が必要です。診療情報提供書にはこれまでの検査結果などが記載されており、主治医に作成を依頼します。スムーズに受診できるよう、計画的に準備を進めましょう。

5.セカンドオピニオンを受ける

セカンドオピニオンの受診時間には限りがあるため、効率よく話を進める準備が大切です。あらかじめ「現在の治療方針への疑問」「副作用への不安」「ほかに選べる治療法はあるか」など、医師に伝えたいことや聞きたいことを具体的に整理し、メモにまとめておくと安心です。

また、受診には信頼できる人に同行してもらうのがおすすめです。緊張してうまく話せないときに助けてもらえるだけでなく、医師の説明を一緒に聞いてメモを取ってくれるなど、後から振り返る際のサポートにもなります。二人で受診することで心理的な負担も軽くなり、リラックスして臨みやすくなるでしょう。

6.セカンドオピニオンの結果を主治医に報告する

セカンドオピニオンを受けた後は、話し合った内容を主治医に報告しましょう。病院によってはセカンドオピニオンの結果を主治医に直接送付してくれる場合もありますが、自分の言葉でも伝えることが大切です。そのうえで、今後の治療方針を主治医と一緒に検討します。

もしもセカンドオピニオン先での治療を希望する場合は、まず転院が可能かどうかを確認しましょう。その後、主治医に転院の意向を伝え、紹介状など必要書類の手続きを依頼します。

まとめ

セカンドオピニオンは、主治医以外の医師の意見を聞くことで病気への理解を深め、不安を解消し、納得できる治療法を選ぶための大切な手段のひとつです。上手に活用することで、治療に前向きに取り組めるというメリットがあります。

一方で、費用が自己負担になることや、治療開始が遅れる可能性があるといったデメリットもあるため注意が必要です。こうした特徴を理解したうえで、自分にとって必要かどうかを判断しましょう。

大切なのは「自分が納得して治療を選ぶこと」。そのためのサポートとして、セカンドオピニオンを検討してみてください。